腐りきっていた学生時代。堕落した生活を送っていた時に、偶然目にした、ある保育園のドキュメンタリー映画に衝撃を受けた。
それと同時に、脳裏に蘇る保育園時代の映像の数々。
「こんな素敵な思い出をつくる仕事がしたい。思い出をつくってくれた保育園の先生たちに恩返しがしたい。」
進む道が決まった瞬間だった。
群馬県の大泉町の公立保育園に通っていた私は、専門学校時代の就職活動で、迷わず大泉町の採用試験を受験し、見事合格!!
憧れの保育士になるとともに、私の担任だった先生とも仕事を共にし、少しは恩返しができたのかなぁ。。。
それから21年という月日の中で、子どもや保護者、我々保育士をとりまく環境はどんどん変わっていった。
核家族化がすすみ、高齢社会になり、出生率が低下し、子育ての孤立化なんて言葉が聞かれるほどに、人と人とのつながりが希薄になった。おまけに超の付くほどのクレーム社会。それが故のリスクマネジメント社会。
そんな早すぎる社会の変化に、子を持つ親もついていくので精一杯。いつしか子育てを楽しんだり、子育ちの喜びに心を動かす時間が少なくなった。そして、「子育て」ということばに対して「自分の時間がなくなる」「大変」「つらい」というネガティブなイメージがついて回るようになった。本来は、それをはるかに超える楽しさと喜びに満ちているのに。このままでいいのだろうか・・・?
保育の現場で日々、子どもたちと保護者に向き合う中で、そんな感情が膨れていった。
「なんとかしたい!!」
子育て・子育ちというものは、人が人を育てることであり、人づくりは地域づくり、地域づくりはまちづくりである。
国も、各自治体も、色々なかたちで子育て支援をおこなっているが、そもそも子育てに対するネガティブイメージを取り払わないと、出生率の回復なんて夢のままで終わる気がする。
「独立しよう。」
周囲からは、公務員を退職することへの反対意見もあったが、以外にも「凄いね。あなたならできるよ。」「ワクワクするね!!」「一緒に手伝わせてね。」という応援の方が圧倒的に多かった。何より、同じ公立保育園の保育士である妻が、「私も同じこと感じてた。」と背中を押してくれた。
小規模保育園を開園し子育て・子育ちの楽しさ、喜びを伝え、同じ敷地内に、地域の方々、お年寄りや子育て世代がいつでも遊びに来られる寄り合い所を併設し、顔の見える地域づくりにつなげ、地域みんなでお年寄りを見守り、子どもを育て、人と人とをつなぎ、孤立化を防ぐ。
一昔前は当たり前だったつながりを取り戻し、子育て・子育ち環境を、みんなでつくりだしていく。
ほんの小さな歩みかもしれないけど、勇気をもって進んでいく。
いつかみんなが、子育て・子育ちって「素晴らしい!!」と、心から思える日が来ることを信じて!!